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自由からの逃走

 予定がなくなってしまったのでだいぶ怠惰な一日となってしまった。とはいえ、冊数でいうと三冊こなしている。これは、ほとんど読了寸前であったものの最後の数十ページを読むことによって得られた数字である。

昨日の購入
モーム「要約すると」  新潮文庫
ルース・ベネディクト「菊と刀」 
飛鳥井雅道「明治大帝」 以上講談社現代文庫
マックス・ヴェーバー「職業としての政治」 岩波文庫

 「菊と刀」は今は亡き社会思想社の教養文庫版で持っているが、紙型の痛みが気になるので、新しく出た講談社版に買い替えることにした。それを言ったら、買い替えたい本はたくさんあるのだが。

昨日の読了
 佐伯啓思「人間は進歩してきたのか」 PHP新書 A
 ソルジェニーツィン「収容所群島1」 A
 エーリッヒ・フロム「自由からの逃走」 S

 佐伯氏の本は、京大の教養学部で「現代文明論」として講義している内容をまとめたものだということである。この本が優れている理由は、現代文明を考える際には歴史認識が必要であり、その歴史認識をどのように作ってゆくかという方法論が述べられていることである。佐伯氏の認識はかなり鋭くまた正しいものだとは思うのだが、その具体的内容自体に共感できなくても得るところはおおいと思われる。
 ソルジェニーツィンの大作、その第一巻である。「収容所群島」は、スターリンが築いたものだというのがわれわれの一般認識であろうが、実は革命が生じた直後からその非人道的な状態は生じていたのだ。ソ連の全体主義体制をスターリンひとりの責任として片づけてしまってはならない。また、冷戦終了後、ソルジェニーツィンの存在感はますます落ちているものとおもわれるが、かれの著書の現代性はなおもうしなわれていないと筆者は信じている。
 フロムの著作、はじめてS評価を与えた本である。筆者の持っている版で111刷! 堂々のロングセラーである。訳者はあの日高六郎氏だ。もちろん、ナチス・ドイツの成立にかんして、ハンナ・アーレントに先立つ重要な貢献であるわけだが、古典の名にふさわしく、現代の「共依存」に通ずる概念を提出していることに眼を惹かれる。というよりも、「共依存」の概念の提唱者としてフロムの名は刻まれるべきではないのか。アンソニー・ギデンズの「親密性の変容」も、これを下敷きのひとつとして書かれているのでは。
 ということで、まだ読んでいない方は是非一読を。

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2005年12月21日 11:45に投稿されたエントリーのページです。

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