一週間後眼鏡が完成した。やっと合う眼鏡をつくることができて嬉しかったのだが、帰宅後のできごとはわたくしを奈落の底に突き落とすものだった。かけた瞬間、ひどい違和感があるのだ。眼は痛み、肩は張り、吐気を催すといった具合で、とても長くかけていられない。いったいどうしてだろうか? 眼鏡に慣れていないせいかと思い、我慢してかけ続けていると、たしかに少々違和感は改善してくる。そして、実際にスクリーンを眺めたり、本を読んでみたりするぶんにはそれほど問題はないようだ。
さすがに、思い余って電話をかけてみる。「どうしても合わないようなら無料で作り直しますよ」とのこと。これでいちおうの安心を得た後、インターネットで情報を集めてみる。この眼鏡は左眼に乱視、両眼に眼位を補正するプリズムが入れてある。どうやら、乱視の矯正やプリズムを入れた場合、やはり慣れるまでに時間がかかることは珍しくないようだ。斜位のプリズムによる補正は、左右の斜位(内斜位や外斜位)のばあいはむずかしい面があって、プリズム量の決定のためにはシェアードの公式、パーシバルの公式というふたつが広くもちいられている。しかし、上下の斜位にかんしては、いちおうずれがある量をそのまま補正すればいいということになっているようだ。ただ、プリズムを入れても症状が改善しない場合、プリズムを抜いたり矯正を弱めたりすることはあるようだ。
ということで、取りあえず作り直しは保留して、眼を眼鏡に馴らしてゆくことにしたのだった。正確には、脳を眼鏡に馴らすということになるが。