« 重い腰 | メイン | 皇紀二千六百年 »

ファシズム

357.jpg
 コメントをいただいたみなさま、ありがとうございました。もともとの知りあい以外で読まれている方がいらっしゃるとは全く予想外でした。今後も、ご感想・ご批判等賜ることが出来ましたら幸いです。

 ということで、今日は当直なのだが、合間に一冊読了してしまったのだった。今日は自宅でないので写真はありません。明日適当なのがあったら貼っておきます ^.^

昨日の購入 なし

 ブルデュー・ライブラリを揃えようかとも思うのだが、果たして読む気力が残っているかが問題。でも、せめてちくま文庫の「夏目漱石全集」くらいは読んでしまおう。

昨日の読了
 山口定「ファシズム」岩波現代文庫 B

 ファシズムという政体に筆者は関心がある。この政体を、現代政治を考える上での糧になるとみるか、昔の遺物の歴史的研究とみるかで、関心の度合いが違ってこよう。筆者は前者を採りたい。
 ファシズムを学問的に考察するときに、必ず問題になるのは、ひとつはファシズムの「理想型(M.ヴェーバー)」をイタリアとみるか、ナチとみるかである。本書は前者という立場を支持しており、それが学会レベルでの定説であろうと思われる。もうひとつは日本軍国主義はファシズムかどうか、ということであるが、著者はこの質問に明確な回答を与えてはいないが、肯定しているところから論をはじめているようにみえる。
 ファシズムの定義はむずかしい。著者は、ファシズムの運動形態を「社会上層の反動と、中間層の疑似革命の結合」とみなしている。ちょっとむずかしい表現だが、マルクス主義の革命理論を嫌悪しつつ、現状は変革しなければならない、という思想の二重性、支持階層の二重性が指摘されている。また、全体主義とファシズムの関係についても、「全体主義的ファシズム」と「権威主義的ファシズム」と分けるかたちで分類を試みている。前者がイタリア型、後者がナチ型、というわけである。

 やはり、日本のことに関心がある筆者は、日本の特殊性(「下からのファシズム」の要因に乏しかった、とか、カリスマがいなかった、とか、膨張主義にかんしてドイツ・イタリアとは性格がちがった、とか)にとくに注目がいった。
 ファシズムに関心のあるかたならA評価でよいと思われる。本書の欠点を挙げておくと、アーレントやアイザイア・バーリンが指摘しているように、ファシズムは民主主義と相反するものではなく、その延長線上にあるとも言えること(ルソーの「一般意思」が全体主義との関連をもっていること、ナチがワイマール体制から合法的に政権を取ったことなどを思い起こせば明白)を軽視していること、「民主主義の成熟度」と「ファシズム」に関連がある、という、一見自明だが問題のある議論を行っているところ(このあたりは著者が認めているように、丸山真男の悪しき影響だとおもわれる)などであろうか。国の豊かさと政体との関連の議論は大変有益であったとおもう。

>山村さん

>スペインやポルトガルは?

 スペインはファシズムに分類されていませんでした。スペインのもうひとつの政党(名前忘れた)はファシズム政党に分類されていたようです。ポルトガルは日本にちかい性質のものだと書いてありました。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://out-of-date.info/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/485

コメント (1)

スイスの山村:

言われてみれば、定義付けは意外に難しいかも...。

スペインやポルトガルは?

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

About

2006年04月20日 00:06に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「重い腰」です。

次の投稿は「皇紀二千六百年」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。