m3.comより。
「ことし4月から大学の医局や関連病院で小児科医になる医師の数が、3年前の半数近くに激減していることが21日、日本小児科学会の調査で分かった。」
でしょうね。
日本では諸外国のように成績による医師の専門振り分け制度がない。これは単純にデメリットだけが多いというわけではない。一番のメリットは医師の「やる気」を損なわないということだ。つまり、無理やり決められた専門科でつまらないと嘆きながら仕事をする、という危険は少なくなる。これは患者サイドにとっても利益となることだろう。二番目は、開業医の後継者養成にプラスに働いたということである。医院を潰さないためには、同じ診療科で働く同業者を見つける必要があるが、一番確実なのは金銭が絡まないという意味では自分の師弟ということになる。それが外科医院を継ぐのに精神科では困るわけだ。この論理から、日本医師会は一貫して振り分け制度には反対を表明してきた。ただ、それは今となっては、開業医の既得利益保存のためだ、という批判を受けても仕方がないであろう。今は潰れる開業医も多いし、別の医療法人あるいは個人に譲渡することもできるからだ。
さて、ここで見逃せないことは、医師ひとりを養成することにあたって、国が補助金を支出していることである。国立医大はもちろんのこと(今は独立行政法人になったが)、私立医大に対しても補助金は支出されている。大ざっぱに言って、医師一人を養成するには年間1000万、6年間で6000万かかると言われている。それだけの金額のかなりの部分を国から払ってもらっている以上(アメリカなどでは個人負担が遥かに大きい)、国の医療政策に従わざるを得ないという理屈は十分成り立つだろう。
問題は、振り分け制度で小児科医の不足を補うという政策を取ったばあい、モチベーションの低い、能力のない医師が大量にこの領域に投入されることである。これは国民にとってはデメリットとなろう。政策的には、強制的に人員を増加させることでひとりひとりの医師の負担を軽くしつつ、医療費の面で優遇するだけでなく(これは単に医療機関にしか作用しないから)、待遇面での優遇を同時に進めることが必要であろう。そして、少子化が進むこんにち、これらは効率のわるい投資になるわけだから、総医療費からパイを分けあうという方法で考えるのではなくて、特別枠を設けることが望ましいだろう。そして、国民には、その分の負担が増えることに対するコンセンサスを得る努力をしなければならない。それがいやなら、現行の状態はどうしようもないのではないだろうか。それが競争社会の現実を反映したものだとしたら。
>山村さん
うーんどうだろうか。
つまり、ひとついわれていることは、子供の数は減少しているのに、救急車要請の回数は増加しているということ。これは、核家族化して、子供について適切な助言をしてくれる年寄りが家庭からいなくなったことが大きいと言われているけれども、それだけではなくて、両親の未成熟、つまり何でもかんでも救急車を呼んでしまう(これは子供に限らず一般的に言えることだろうと思われる)ということも挙げられるだろう。そして、その二つが救急車出動の回数を増やし、さらに状況を悪化させている。この解決は、「本当に必要な救急要請を減らしてしまう」という批判はあるものの、救急車の有償化以外はありえない。そして、低所得者などには、「本当に必要であったか」の判定を事後に行い、救済するなどの策が検討されているようである。
だから、ある意味、利用者の責任という面がないわけではない。
環境の悪化というなら、共稼ぎと核家族化という二つの要因の方が大きいのでは。
コメント (1)
しかしさ、こういう結果を目の当たりにすると、子供を産まないっていう国民の選択は、残念ながら結構鋭い、とも考えられるね。環境の悪化を何となく、しかし正しく認識しているという文脈で。
投稿者: michiaki01 | 2006年03月04日 10:35
日時: 2006年03月04日 10:35