
最近雨の日が続いている。植物園か山へ足を運んで撮影しようという意欲を削ぐ天候である。六本木の建設中のビルの上部もすっかりくすんでしまっている。モノクロ撮影でもよいくらいだ。
さて、折口信夫は柳田国男の弟子でもあったが、学者然とした師とは違って(柳田は東京帝大を卒業した農商務省の官僚でもあった)、より文学的・神話的な民俗学を作り上げたことで知られている。その折口の代表作のひとつである「死者の書」が映画化された。岩波ホールで上映されているのを見に行った。
あえてCGを多用せずに、人形の動きを主体にした撮影だ。これは細かな、滑らかな動きを表現するためにひどく時間がかかるそうだ。主人公である藤原南家の息女である郎女の動きはむしろ地味であり(これは役柄からしても当然であろう)、むしろ建設現場で働いているたくさんの人形に精巧な動きをさせているが、これらの人形は多摩美大の学生がひとり一つずつ作ったらしい。気が遠くなるほど手間暇がかかったであろう。スタッフに「人形関節」なる役割の人がクレジットされていたが、関節だけは特別のプロが作るものなのだろうか。
折口の世界を表現するには通常の俳優を用いた撮影や、宮崎駿作品のようなアニメだけでは十分でない、と判断した、人形劇撮影家として著名な監督の判断であろうが、その試みは成功していたのではないだろうか。ただ、ストーリーよりもカメラワークが気になっていたのはデジカメのせいだろう(笑)。折口信夫、以前から気になっている著述家であるので、やはり読まなければいけないという感を新たにした。
昨日の購入・読了 なし