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天下りは必要悪か?

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 NHKの日曜討論で天下りがいけない、という議論をやっている。ばかげたことだ。もう何年前から同じことを繰り返しているのだろう。
 筆者がこの件に関して多少知っているのは、製薬メーカーに関することだ。医師の中には、同効薬の中から一つを選択するときに(例えば、抗生物質や高血圧の薬などは複数の選択肢がある)国内メーカーの薬を優先して処方する、という方針でやっているひとが少なくない。筆者はまったく逆で、迷ったときにはファイザー(米)、万有[メルク]・ノバルティス(スイス)、グラクソ(英)、ベーリンガー(独)などの中から選択することが多い。
 その理由は、メーカーにとって生命線である、新薬の認可の際に、明らかに国内メーカーと外資系メーカーの間に差異があるからである。じつは、厚労省の「いやがらせ」はそれに尽きないのだが、天下り役人を採らない外資の新薬の認可を故意に遅らせる傾向がある。
 それが顕著に表れたのは、ひとつは胃潰瘍に対するPPI(プロトン・ポンプ・インヒビター)の件である。この時、申請したのは現アストラゼネカ。この時に、当時日本国内の医薬品の売り上げベスト3くらいに入っていた山之内製薬のガスター(H2ブロッカー)を守るために、PPIの認可を遅らせ、しかも適応に厳しい縛りをつけた。最近では抗インフルエンザ薬であるリレンザ(グラクソ)に対するひどい妨害が目に付く。この薬剤は事実上一年認可が遅れ、一年後のタミフル(ロッシュ)の登場を待ってはじめて健保適応となったのである。このためにグラクソが被った損害は億単位ではないかと推測される。もちろん、損害はメーカーだけの問題ではなく、有益な新薬の認可が遅れることは、国民の利益に相反することになるのはいうまでもない。
 さて、先ほど外資のメーカーの名前を挙げた際に、中外製薬(ロッシュ)はあえて外した。これは、同社は外資系の中では天下り役人を積極的に受け入れ、厚労省に迎合することで利益を得ているからだ。これは国内メーカーと全く同じやり方である。このような嫌がらせをすることで、厚労省の役人は自らの天下り先を確保していると言える。
 では、政治家が言うとおり、天下りを禁止すればそれでことが足りるのか。役人の給与はその能力と仕事量に比べれば不当に安い。例えば、夜間・休日出勤の代償として医師が「お礼」というかたちで、患者もしくは家族から非合法に対価を得ているのと同様(これは当然医療費から支払われるべきである)、役人は天下りというかたちでそれまでの努力の対価を得ることになる。これだけを禁止したら無能な輩ばかりが官庁にはびこることになる。これも困る。
 関連会社への天下りは全面的に禁止とするのはもちろんだが、官僚としてのキャリアを正当に評価し、適切な再就職先を公正なかたちで確保するような方策が望まれる。これは、アメリカのように官=民の人材の異動が当たり前になっているような文化が要求されよう。日本の司法システムがもともと法曹一元化が前提とされていたのと同様、官僚についても官ー民、民ー官の人材移動が前提となるようなしくみを同時に作っていかねばなるまい。

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2006年02月12日 10:10に投稿されたエントリーのページです。

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