最近、日本でも靴に対する関心の高まりがあるようだ。たいへん望ましい傾向だと思う。というのは、もともと靴というものは必要悪であって、人間の足に合わせた調整が必要なものなのだ。つまり、合わない靴を履いていると、足(足首より下)を痛めるばかりではなく、膝関節や股関節に負担をかけ、変形性関節症や腰痛の原因になることもあるからだ。それらを防ぐには靴選びが重要なのである。
もともと、欧州、特にイギリスには、ジェントルマンの文化として、靴にお金をかけるというものがある。この場合の靴は革靴であって、代表的なメーカーがジョン・ロブである。チャーチルをはじめとするイギリスの有名人の足型を残していることで有名なブランドであり、オーダーメードが原則。レディメードでも、日本だと8万円からしたりする。ただ、この手の革靴は、日本人には少々つま先のカーブがキツイのが問題だ。睡眠時以外、あれを家の中でも履き続けているというのはたいした根性だと敬服するが、通気性を考えても足によいはずはない。サイズでいうと、日本人はEEEあるいはEEEEといったゆったりめのサイズを選んだほうがよい。
日常履くもので、営業のように長時間歩行する仕事をしている場合には、アシックスのランウォーク(むかし、ワラッジと言った)を勧めている。これはビジネスシューズでありながら、長時間歩行のためのさまざまな工夫がなされていて、疲れ難い。そうでなくても、安い靴は長時間の歩行には耐えられず、結局買い替えを余儀なくするために、初めからしっかりした靴を選ぶに越したことはないのである。
筆者はビジネスシューズを履く必要がないために、同じアシックスのペダラ(アスファルト用と野外用があり、個人的には後者が好きだ)を好んで履いている。また、月星化成から、ウォーキングシューズとして、ワールドマーチというシリーズが出ていて、これは堅牢でしかも軽い。丹沢程度の低山くらいならこれで登れてしまうし、街中を歩くにもよい。歩くことが好きなかたは検討してもよいブランドだとおもう。
明治時代からの靴の歴史をみてみるのも面白い。最初は当然ながらすべて輸入であり、使用用途は軍隊なのであった。しばらくして国産の靴が登場するが、それもすべて外国のコピーであり、日本人の足型に合った靴というのはずっと作られなかった。十五年戦争(大東亜戦争と呼ぶべき?)でも、靴は徹底的に軽視された。特に有名なのはビルマ戦線(インパール攻略作戦)であり、伊藤桂一氏の「遥かなインパール」によると、靴の所有の有無が生死を分けた、という記載がある。
新たに靴を購入される方は、「シュー・フィッターのいる店」というのを探すとよい。貴方の足にあった靴をセレクトしてくれるはずである。