GWの最初の休日、丹沢、特に交通の便がよく、景観のよい、そしてそれほど行程のきつくない大山や表尾根は非常に込むことがわかりきっていた。そんな休日に静かな登山の楽しめる丹沢の山はどこか? 交通が比較的不便で急登のある西丹沢? いや、檜洞丸や畦ヶ丸は混雑するに決まっている。西丹沢でも、大室山や菰釣山といった知名度の低い山なら、それなりに空いているかもしれない。
しかし、じっさいには、人出の多い東丹沢、しかもその中でも人気No.1と言える山でも、ほとんど人に会わず静かな山登りが楽しめる山がある。それが、今回書こうとする相州大山、そのほとんど登られない北尾根である。
このサイバー国土の地図を見て頂きたい。中心にあるのが大山である。ここへの代表的な登路は、左下、つまり南西のヤビツ峠からのものと、右下、つまり南東の追分からのものの二つである。共に一時間半程度で山頂に立つことができる。バリエーションルートとして、東側に抜けるルートがふたつある。ひとつは不動尻を経て広沢寺温泉に抜けるものであり、もうひとつは日向薬師へ抜ける道である。この二本は比較的利用者がすくないルートであろうと思われる。
しかし、じつはもう二ルートあるのだ。それが、ほぼ真西へ向かう、諸戸へ抜けるルートと、ほぼ真北へ向かう北尾根である。こんかい選択したのは、この北尾根である。
小田急線秦野の駅にて下車。この駅からヤビツ峠行きのバスが何本か出ているが、急祭日には増発されるのが常のようである。それらの登山客を横目にみつつ、タクシーに乗り込み、行き先を「(ヤビツ峠の先の)札掛から少し先の、物見峠入口まで」と告げる。
ヤビツ峠に至る途中の蓑毛は、むかしの大山登山の基地であった。ここを過ぎると道は急に曲がりくねる山道となる。たくさんのロードバイクを追い越し、モーターバイクに追い越される。ヤビツ峠は大山と表尾根に向かうハイカーでごった返していた。表尾根への登山者を追い越し、札掛へ向かう。札掛から物見峠入口まではごくわずかの距離であった。タクシー料金は6,300円ほど。高いよ・・・・・ToT
物見峠入口から北尾根との交点である一の沢峠まではよく整備されている。ここが一の沢峠であるが、道標をみてもわかるとおり、ここは正規ルートとされていない。

ここから、道であって道でないようなコースを延々とたどる。一ヶ所だけ地図とコンパスでルートを確認したが、特に迷うような場所はない。おおむね、とても狭い尾根である。

一時間ほど歩くと鉄柱のある小ピークへ出、北尾根の全貌が観察可能となる。この小ピークで県道からの道を合わせ、以後の道は鮮明となる。


ツツジも咲いている。


結局、このコースで、山頂到着までに出会ったパーティーの数は、たった五。もちろん追いつき、追い越しはゼロ。この北尾根、下山ルートとして使うひとはいても、滅多に登山ルートとして使うひとはいないらしい。途中出会ったおじさんに、「よっぽど山がお好きなんですね(物好きですね、という意味か?!)」と言われてしまった。
で、ゆっくり歩いても、ほぼコースタイムどおり、物見峠入口から三時間半ほどで大山山頂へ到着した。そこは、別世界だった。見渡す限りの人の山!!!!!
帰りは、諸戸へ抜けるもうひとつのバリエーションルートを選択したかったが、道が見つからず(これは筆者のミスで、五万分の一と二万五千分の一の地図を両方みていれば、容易に発見できたはずなのである)、仕方なく追分に抜ける表参道を降りたのであった。有終の美を欠く一日であった。