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七面山縦走

 渋谷の駅にタクシーで5時に間に合うように乗りつけると、菊名で横浜線に乗り換え、6時発の広島行きひかりに乗ることができる。すると、7:02発の梅ヶ島温泉行きのバスに接続できる。このバスの終点、梅ヶ島温泉までは、約二時間のゆっくりした道のりである。終点に到着するのは8:50。登山の出だしとしては、少々遅い時間となってしまう。

 山と渓谷社の「アルペンガイド」では、この八紘嶺〜七面山のコースタイムは9時間50分、一泊コースとなっている。これは、梅ヶ島温泉で前泊または早朝のバスで温泉入りし、七面山敬慎院で一泊することが前提となっている。これを、8時50分からまともに歩くとすると、登山口へ到着するのは、18時40分となる。それほど非現実的な時間ではないが(後半の下りが敬慎院の参道となるため、比較的安全度は高い)、ちょっときつかろう。また、東京へ帰るのがこの時間ではとてもむずかしくなってしまう(後述)。

 では、どうするか。「走る」という解決策いがいには、ない。


 バス停を降りるとすぐに車道を直進する。けっこう斜度のある道である。ほどなく、左側に取り付きを見つけることができる。もっとも、ここを歩かなくても車道をそのまま行けば、ふたたびこの登山道に合流することができるのだが、それは登山ではあるまい。

 植林の中のよく整備された道で、地形図から想像するほどのきつさは、ない。ジグザグに傾斜を緩和するように付けられた道をひたすら登ってゆくと、やがて先ほどの車道に合流する。車道をそのまま行けば安倍峠である。八紘嶺を目指すには左側の山道に入る。

 傾斜はさきほどの道よりもじゃっかん緩む。いつしか植林は少なくなり、落葉樹の雑木林となる。しばらく歩くと尾根に出るのだが、幅広い尾根から痩せ尾根に変わってゆく。このあたりで安倍峠からの縦走路に出会うはずなのだが、見落としてしまう。で、気付いたら八紘嶺にいたのであった。10:40着。ここまでで2時間弱の経過だ。

 ここで職場から電話があったので、予定より早く帰るべく疾走することとする。でも、実は八紘嶺から七面山までの駿河・甲斐国境尾根は、とても雰囲気の良い尾根で、トレイルランスタイルで疾走してしまうのは、ちょっともったいない。そうこうしているうちに、七面山に着く。ここまで、比較的大きな上り下りが、三箇所くらいあって、体力の温存が必要である。

 頂上でよく地図を確認しなかったので、てきとーに歩いていたら、予定していた北参道ではなく、表参道へ降りてしまった。下山時刻13:40。5時間を切るタイムで、まあまあ満足できた。

 問題はここからであった。身延線身延駅までのタクシー代が6000円強、そして身延線、甲府までの旅客運賃と特急冨士川号の特急料金、さらに新宿までの運賃と、スーパーあずさの料金・・・新横浜=静岡の新幹線運賃も入るのだから、痛い。痛すぎる。


 さて、結論を急ごう。非日蓮宗信者にとって、この七面山は、登る価値のある山だろうか? タクシーの運転手さんは、「八紘嶺から歩いてこれるのは知っているけど、歩いてきたひとを乗せたことはないねえ」と言っていた。しかし、北参道から登り、表参道から降りるという循環コースでは、この山の魅力を味わうことはできまい。なんといってもこの山の魅力は、背後の甲駿国境尾根にあるのだから。

 正直、もっとゆっくり歩いた方が、この山陵の魅力はよく味わえると思う。だから、筆者はガイドブック通り、敬慎院で一泊、翌日下山するプランを勧めたい。下山口には温泉もある。逆に、北参道から登り、敬慎院で一泊、翌日後背の尾根を南下し、八紘嶺から下山、梅ヶ島温泉で一泊、というのも、ぜいたくなプランだろう。

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2009年06月20日 23:03に投稿されたエントリーのページです。

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