ずっと記事を追っているが、よくわからない報道も多い。
「ガイドが客の出発順延や救助要請を無視」は、論外だと思う。当然会社およびガイドは業務上過失致死傷害に相当しそうだ。しかし、本日の記事はどうだろう?
「客は全員フリース生地の上にカッパやウィンドブレーカーなどの上着を着ていたが・・・死亡した七人は防水・防寒効果の薄い生地を・・・」
これには、通常のゴアテックスなどの透湿・防水素材を用いたレインコートも含まれる
のだろうか。
整理しよう。通常、アウターとして着られる「シェル」には、四種類がある。
1)透湿効果は優れているが、防水機能はなく、耐水能が若干ある「ソフトシェル」
2)防風効果が主で、防水機能のない「ウィンドブレーカー」
3)透湿・防水効果のあるゴアテックスなどの素材を用いた「レインウェア」
4)レインウェアに保温と雪上での滑り止め効果などを付加した「ハードシェル」
夏山では通常シャツ一枚で十分だから、1)は夏以外のスリーシーズンの晴天時に選択するアウターであり、降雨時にはレインウェアを併用するのが前提である。小雨であればソフトシェルだけでも行けてしまうが。2)は、風が吹いて寒いときに羽織るウェアであるからして、冬以外のスリーシーズンのアウターということになる。同様に、降雨時に着ることは想定していない。だから、結局余計な装備になるから、筆者はこの手の「ウィンドブレーカーやライトシェル」は持っていかない(ファイントラックの「ブリーズラップ」だけは別。これは耐水圧20,000mm/cm2というほとんどレインウェア並みの耐水性能を誇る。ただし、フードがついていないから、今回のケースでは不十分である)。ので、筆者の常備装備は3)である。ただし、4)の冬山用ハードシェルを持っていくときには、3)はダブルので持っていかない。
さすがに、筆者でも、4)のハードシェルまでは夏山には持っていかない。さすがに暑すぎること、防寒としてはレインウェアの下に重ね着をすれば十分であることが理由である。
おそらく、この記事は3)と4)を混同している可能性が高いと思われるのだが、「夏山にも冬山仕様のハードシェルが必要」という認識は、さすがに筆者にもない。想像だが、「防寒効果のないアウター」とは、2)のウィンドブレーカーを意味しているのではないだろうか。
しかし、いくらなんでも、フリースを持参したにもかかわらず、ゴアまたはその類似素材を用いたレインコートを持参しないとは思えない。フリースよりも防水ウェアのほうが必須だからである。何か事実誤認があるにちがいない。
筆者であれば、このような事態には、次の重ね着で対応する。
a)一番外側は防寒効果のないレインウェア
b)二番目は防水効果の弱いソフトシェル
c)フリース
d)インナー二枚
かりに、耐水圧を上回る暴風雨でa)が突破されてしまったとしても、最近のソフトシェル、特に筆者のは耐水性に定評があるパタゴニアのそれだから、そこで水は食い止められ、体温を下げるまでには至らないはずである。化繊のフリースは水に強く、ある程度濡れてしまっても保温性は皆無にはならない。
これで夏山で凍死するなら、筆者も考えを改めなくてはならない。冬山用のアウターを常に持っていなければいけない、ということなら。
昨日の読了
伊藤整「街と村・生物祭・イカルス失墜」講談社文芸文庫 ?
筆者は伊藤整に私淑している者であり、彼の作品については、手放しで勧められるものを除いて、正当な評価ができそうにない。これを読むのは、もう何度目だろう? 「街と村」に挿入されている詩(「雪明りの路」に収録されているものだろうか?)を読んだだけで、じーんと来てしまうのである。