医療関係者のためのサイト、m3.comで、以下のようなアンケートが行われた。
「女性の医学部入学を制限すべきか?」
この質問の背景には、女性の医学部・医療への進出によって、結婚後家庭に入って仕事を辞めたり、当直をやらずに九時五時で帰る女医が増えて、医療崩壊の一因になっているという認識がある。
このアンケートの結果は、医師に限ると、1/3が賛成、というものであった。
前述の命題が真だと仮定しよう。その場合、みっつの解決法がある。
1)女医を減らす。
2)女医に男性医師と同様の仕事を義務づける(具体的には、卒業にかかった年数の1.5倍は男性と同等の労働条件で働くことを法律で定める、など。)
3)男性も女性と同様の条件で働くようにさせる。それによって生ずる労働時間の不足は医師増加によって補う。実質的には医師間のワーク・シェアリングとなる。
筆者が力説したいのは、かりに1)が効果的な方策であったとしても、それを採ることは憲法上まかりならぬ、という点である。「法の下での両性の平等」に反する法律・政策は、それがどんなに効果的なものであったとしても採ることはできない、これが近代民主主義の原則である。迂遠であっても、もし女性が育児その他のために短い、あるいは過酷でない労働条件の基でしか働けないとするならば、男性のほうをそれに合わせるのが筋というものである。
それによって、必然的に医療費は不足し、医師の給与は下がる可能性がある。それにストライキを含めて反対するのが労働者としての医師の権利である。女性医師に法定時間内での勤務を許すために(こちらが本来の労働者としてのあるべきすがたである)、男性医師、あるいは男性と同等の条件で働く女性医師に負担がかかっているのであれば、その負担を取り除くための政治闘争をするのが、結局は男性医師のためにもよいのだと筆者は考える。おかしいのは、女性医師の勤務形態ではなく、男性医師の勤務実態なのである。
1/3の医師がこの案に賛成したということに、筆者は信じられない思いと共に、日本における民主主義や、両性の平等といった概念が、真の意味では根付いていないことを改めて知る思いがした。戦後民主主義は虚妄なのではなく、死滅しつつあるのである。
そして、時代はおそらくゆっくりと翼賛体制のほうへ・・・