伏美岳からピパイロ岳までの稜線の展望は期待できない。稜線上はハイマツや潅木に覆われているため、それを避けるために斜面に道がついている場所が多く、歩きにくい。雨の日などはかなりスリップしやすく、歩行速度はさらに遅くなることを想定しておかなければならない。ピパイロ岳までの間に顕著なコルが二箇所あるが、ピパイロ岳に近いほうが水場のあるコルである。ここはテント場になっているが、伏美岳山頂ちかくにも一張りくらいのテントを張るスペースは存在する。
ピパイロ岳も伏美岳と同様に展望はよい。このあたりから北日高らしい、やせた急峻な尾根道になっていく。筆者が九月に訪れたときは、繁殖期だったのかナキウサギの姿をみかけることができた。登山地図に記載は同様にないのだが、伏美岳山頂と同様に、ここにも山頂をちょっと過ぎたスペースに一張りくらいのテントを設営できるスペースはあり、実際に筆者は三日目の泊まりをここにした。
ピパイロ岳からは戸蔦別川の源流を弧のように巻いてゆくことになる。ここから1911mピークを過ぎて、次の大きな1793mコルを多くの場合テント場に選ぶことになろう。チロロ川源頭からの取水が容易であるからである。水場へのルートは明瞭でよく踏まれている。しかし、往復30分みておく必要がある。ここの水場はエキノコッカスに汚染されている可能性は少ないように思われる。もちろん確証はないから、フィルターを使うなり煮沸するなりしたほうがベターだろう。
ピパイロ岳から1911mピークを望む。ここから稜線は左へ旋回してゆく

1793mコルのテント場から。左は1967mピークから派生する尾根の1857mピーク、右の双耳峰はチロロ岳とチロロ西峰だろう

戸蔦別岳からの北日高主稜線。左側の稜線の高まりはエサオマントッタベツ岳だろうか

この水場の次には1967mの無名峰が待っている。テント場から見上げるとかなりのハードな登りであることが予想されるが、実際に登ってみるとそうでもない。標高差が170mしかないのだから当然か。1967mからは展望のよい尾根道である。ピークの位置は枝尾根の出方から容易に同定できるが、思ったより距離がかせげていない気がするだろう。1856mのピークにはテントを張れるスペースがあるが、水がないから一般的には適さないだろう。ここから北戸蔦別岳までの間も随分と遠くに感じる。北戸蔦別岳の名標はこれも随分遠くから見えるのだが。
北戸蔦別岳にもテントを張れるスペースがある。筆者が到着したときには実際一張りツェルトが設営してあった。ここからはチロロ川へ下るルートが分岐している。そしてそのルートの途中には水場もあるために、チロロ川に沿って走る林道から登った場合、格好のアタックキャンプとなりうる。ただし、数張りのスペースしかないが。
ここから戸蔦別岳まではまもなくであるが、途中の小ピークを過ぎたところで幌尻山荘からのルートに合流する。ここから道は若干よくなり、ハイマツがカットされている。戸蔦別岳に至ると、ようやく眼下に七ッ沼カールが見えてくる。
七ツ沼カールと太平洋
