ここで、「正解」は、残雪がない時期なら、眼下の七ッ沼カールへ下降して、そこにテントを設営してしまって、荷を軽くして幌尻岳へ往復してくることである。ただし、戸蔦別岳山頂から幌尻岳山頂までの往復をすると、六時間。それなりに時間がかかることは覚悟しておかなければならない。
では残雪期には? 実は雪があると七ッ沼カールへの下降ができない。できないことはないが、滑落を覚悟せねばならない。実際、筆者はここで数回滑落した。なので、二日分の水を1793mこるから北戸蔦別岳のテント場まで運び、そこにテントを設営して、そこから身軽になって幌尻岳まで往復する、というプランの方がいいと思われる。もちろん、北戸蔦別岳からチロロ川へ下ったり、幌尻山荘から額平川ルートで下ったり、南へ直進してニイカップ・ポロジリ山荘を目指す、という場合には、そのまま山頂アタックの後、下山してしまったほうがいいだろう。
残雪期、もし七ッ沼カールへ降りてしまった場合には、無理をしても戸蔦別岳〜幌尻岳の肩の間の稜線へ上がるべきである。戸蔦別岳から神威岳までの北日高主稜線には、道はない。またカールから北日高主綾線へ上がる道筋は、熊と遭遇する確率が非常に高そうである。何とか急峻な斜面を這い上がって登山道のある稜線へ抜けるべきだ。もし、北日高主稜線へ上がり、戸蔦別岳まで戻ろうとすると、標高差350mを抜けるのに、三時間はかかってしまう。
交通の関係で、最も帰りやすい手段は、もとの伏美岳登山口へ戻ることである。その際に気をつけなければならないことがある。北戸蔦別岳からピパイロ岳への稜線上で、1793mテント場コルへ降りる直前の1967mピークにおいて、山頂から北の1857mピークに向けて、明瞭な道がついている。この道は、想像するに1623mピークから、チロロ川側へ下りるルートであろうが、もちろん地図にはない。悪天下にピークへ登頂した場合、誤ってこのルートへ入る可能性が極めて高い。ピークでは必ずコンパスにて方向を確認したい。
けっきょく、筆者がいいたいのは、
・決して楽なコースではない
・2泊3日で歩くのはちょっと無理
・残雪期に七ッ沼カールへ下降するのは十分に気をつけよう
というくらいだろうか。